医療法人マックシール 巽病院

外科

当科は、腹部疾患に対する手術全般(消化器がん、胆嚢・総胆管結石症、急性虫垂炎、腸閉塞、鼠径ヘルニア、腹壁ヘルニア、痔核など)を担当しています。がんの手術時には、「過不足のない病変部切除」と「身体への負担の軽減」に配慮し、妥当と考えられる術式を提示いたします。消化器がんに対しては薬剤を用いた治療も担当しています。ガイドラインに基づいて薬剤を選択し、身体に過度の負担がかからぬよう投与量、投与法を工夫して治療を行います。

診療時間
9:00~ 久呉
永島
長谷川
(交代制)
高橋 高橋 安成
16:30~ 蓑原 高橋

※受付時間内にご来院下さい。


消化器
外科
部長

高橋 たかはし つよし

医師として大切にしていること

私は、これまで消化器がんの手術を中心に外科治療の研鑽を積んで参りました。がんに限らず、手術や処置が必要となった際には、安全で正確な手技を行うとともに、皆さまのご不安を取り除けるよう心がけたいと思っております。

■資格等
日本外科学会専門医・指導医
日本消化器外科学会専門医・指導医
日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医

趣味

ジョギング、読書

消化器
外科

佐々木 ささき 啓明 ひろあき

■資格等
日本心臓血管外科学会専門医・指導医
日本外科学会専門医

主な疾患の治療方針・手術方法

鼠径(そけい)ヘルニア

「痛みはないけれど足のつけ根が腫れている」といった症状はありませんでしょうか。それは鼠径ヘルニアかもしれません。

鼠径ヘルニアとは、足のつけ根(鼠径部)の筋膜・筋肉が弱くなり、腹圧によって腹腔内の臓器が腹腔外へと脱出した状態をいいます。脱出するのは腸管が多く、俗に「脱腸」とも言われています。手で圧迫すると腸管は腹腔内に戻ることが多いのですが、戻らなくなると、腸管が脱出口(ヘルニア門)で締め付けられて壊死に至る場合があります。ヘルニアは自然に治癒することはなく、手術での修復が必要です。

当院では、鼠径ヘルニアの治療として、全身麻酔下に腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術を行っています。お腹の中から鼠径部の腹膜を切開し、シート状のメッシュを留置して腸管の脱出口を塞ぐ手術です。へそとへそ両脇に2カ所の小切開を加えて行います。小さい傷で済むことから、手術後は2、3日で退院することができます。

胆のう結石症・胆のう炎

胆のうは肝臓の下面に付着している袋状の臓器です。肝臓で作られた胆汁は、いったん胆のうで濃縮され、食事を摂ったタイミングで消化管へと排出されます。胆のうの内部に石ができた状態を胆のう結石症(胆石症)といいます。症状がない場合が多いですが、胆石発作(差し込むような痛み)や胆のう炎(腹痛、発熱)を起こすことがあり、また結石が胆管に落下すると黄疸や胆管炎の原因となることがあります。胆のう結石症に対する治療は通常、胆のう摘出術になります。

胆のうを摘出すると、下痢や便秘、上腹部の違和感などがみられる場合がありますが、いずれも一過性の症状で、自然に消失することがほとんどです。

当院では、胆のう結石症の治療として腹腔鏡下胆のう摘出術を行っています。へそと上腹部に3カ所の小切開を加えて行います。ただし、胆のう炎を併発して炎症が高度な場合には、開腹手術に移行することがあります。腹腔鏡手術であれば、手術後3~4日で退院することができます。

胃がん

一般に、進行した胃がんに対しては手術が必要となります。

胃がんは進行すると、近傍のリンパ節に転移をともなう場合があることから、手術にあたっては、病巣とともに胃周囲のリンパ節を摘出する必要があります。そのため、がんができた部位によって、幽門側胃切除(胃2/3切除)術か胃全摘術を選択します。病巣を切除した後、幽門側胃切除術の場合は、残った胃と十二指腸あるいは小腸とを吻合します。胃全摘術の場合は、食道と小腸を吻合し、食べ物の流れを再建します。

いずれの場合も、比較的早期のがんであれば腹腔鏡手術を行っています。手術は、へそとへそ以外に4~5カ所の小切開を加えて行います。ただし、進行がんに対しては、万が一にも根治性を損なわないよう開腹手術を選択しています。手術後は、摂取できる食事の量や合併症の有無などにもよりますが、通常10~14日で退院となります。

がんの進行度によっては、手術後に補助化学療法(再発予防のための抗がん剤治療)を薦めることがあります。また、診断時に、肝臓や肺などに転移を認めた場合には、手術ではなく、化学療法(抗がん剤治療)の適応となります。

結腸がん・直腸がん

一般に、進行した結腸がんや直腸がんに対しては手術が必要となります。病巣部の腸管とともに転移の可能性のあるリンパ節を摘出し、残った腸の端どうしを吻合する手術です(図は、S状結腸がんに対するS状結腸切除術の模式図です)。

当院では、腹腔鏡下結腸(直腸)切除術を第一選択にしています。手術は、へそとへそ以外に4カ所の小切開を加えて行います。ただし、がんが大きく腸の内腔を塞いでいたり(腸閉塞)、近接する臓器に浸潤が疑われるような場合には、最初から開腹手術を選択することもあります。腹腔鏡手術であれば、排便状況や合併症の有無にもよりますが、通常7~10日で退院となります。

なお、直腸がんが肛門に近く、肛門を温存することができない場合には人工肛門を造設します。人工肛門のケアに関しては専門のスタッフ(皮膚・排泄ケア認定看護師;WOC)が担当いたします。

がんの進行度によっては、手術後に補助化学療法(再発予防のための抗がん剤治療)を薦めることがあります。また、診断時に、肝臓や肺などに転移を認めた場合には、手術ではなく、化学療法(抗がん剤治療)の適応となることがあります。

痔とは肛門疾患の総称です。内痔核(いぼ痔)、外痔核、裂孔(切れ痔)などが含まれます。この中で内痔核は、慢性的な炎症により肛門の静脈叢が腫れた状態をいいます。内痔核は、背景に便秘があることが多く、生活習慣病と考えられています。症状には、排便時の出血や肛門外への脱出などがあります。排便時の出血が続いたり、脱出がひどく痛みをともなうような場合には治療が必要となります。

内痔核の原因が便秘と考えられる場合、軟膏治療に加えて便通のコントロールを行います。それでも症状の改善が得られない場合に手術を行っています。

手術は腰椎麻酔(下半身麻酔)下に痔核の半閉鎖式結紮切除術を行います。手術後は、創部の状態や痛みの程度にもよりますが、通常2~7日で退院することができます。

粉瘤(アテローム)

粉瘤とは、皮膚の下にできた嚢胞(袋状組織)内に皮膚の垢や脂が貯まったものです。アテロームとも呼ばれます。外からは皮膚が半球状に盛り上がってみえます。放置しても多くは無害ですが、嚢胞内に細菌感染を起こすと、炎症による腫れや痛みが現れます(感染性粉瘤)。

粉瘤の治療は嚢胞ごと腫瘤を摘出する手術になります。粉瘤が小さい場合には、局所麻酔下に日帰りで摘出手術を行っています。一方、細菌感染によって皮下に炎症が広がった場合には、まず切開して膿を出す手術が必要になります。

当院での手術の特徴

  • 1. 治療に関して、ご本人様が十分に納得されるよう、ご不安が少しでも軽くなるよう丁寧にご説明いたします。
  • 2. 手術の安全を担保するとともに、ご本人様の身体への負担ができるだけ少なくなるよう心がけています。
  • 3. 手術は、日本外科学会、日本消化器外科学会の専門医以上の資格を有する外科医が担当いたします。
  • 4. 退院後、休日や夜間に具合が悪くなっても、当院は24時間、救急の受け入れ体制を整えておりますので、安心して受診していただけます。

腹腔鏡手術

腹腔鏡手術とは、腹部に数カ所小切開を加え、その切開創から腹腔内に内視鏡(腹腔鏡)や手術器具を挿入し、テレビモニターに映った腹腔内の映像を見ながら手術を行う技法のことです。多くの場合、へそとへそ以外に2~5カ所の小切開創を設けます。従来の開腹手術に比べて傷が小さくてすむことから、手術後の痛みが少なくなります。
 近年、腹腔鏡手術は多くの施設で行われるようになってきました。私も、外科医として長い期間、腹腔鏡手術の修練を積んできました。腹部手術においては第一選択の技法となってきたからこそ、慣れているとおごることなく、安全を念頭に置いた精緻な手技を心掛けたいと思っています。

写真は腹腔鏡下胆のう摘出術の様子と腹部の切開創です。通常、へそと右上腹部に3カ所小切開を加えて手術を行います。手術翌日から食事が可能で、2~3日で退院することができます。

化学療法

がんの進行度によっては化学療法(抗がん剤治療)の適応となります。化学療法を行う際には、ガイドラインに基づいた薬剤を選択したうえで、できるだけ生活の質を落とさないよう、患者さん一人一人の体調を考慮したオーダーメイド治療を心がけています。

【当科で行っている化学療法】

対象となる主な疾患と適応:

  • 食道がん:
    遠隔転移を伴う場合や周囲臓器への浸潤が高度で手術適応とならない場合。
  • 胃がん:
    ・手術後で、ステージ2~3であった場合の補助化学療法(再発予防のための抗がん剤治療)。
    ・診断時に遠隔転移を認める場合や周囲臓器への浸潤が高度で手術の適応とならない場合。
  • 大腸がん:
    ・手術後で、ステージ3であった場合の補助化学療法(再発予防のための抗がん剤治療)。
    ・大腸がんで、診断時に遠隔転移を認め手術適応とならない場合。
  • 膵臓がん:
    遠隔転移を認める場合や周囲への浸潤が高度な場合。
  • 胆道がん:
    遠隔転移を認める場合や周囲への浸潤が高度な場合。

※同じ疾患でも、状況によって使う薬剤や治療期間が異なります。詳しくは担当医にお尋ねください。

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